第四章 住居

オレは車に着くと窓越しに中をのぞいた。まだ寝ている。ドアを開けて声をかけた。
「リッツァ。起きろ。」
妹は、渋々目を開けて言った。
「ん・・・。着いたの?あれ、マリオは?」
「マリオは先にBARに行っているよ。行こう。」
妹は車から降りて、目をこすった。妹は周りを見渡しながら言った。
「別に普通の街じゃない。」
「そうなんだよ。オレも同じことを思った。」
オレは妹を連れてBARへ向かった。扉を開け中に入ると、カウンターに座っていたマリオは振り返った。
「お、来たか。」
オレと妹はマリオに並んでカウンターに腰をかけた。アルフレッドがこちらをみているので、オレは妹を紹介した。
「こいつがオレの妹で、リッツァ。」
妹は軽く頭を下げて挨拶をした。
「私は、アルフレッドだ。よろしくな。」
オレは妹にこの建物に住むことを決めたと伝えた。
「明日からここで働くんだ。」
「バランティ。学校はどうするの?」
それを聞いていたマリオが口を挟む。
「学校?行きたいのか?」
「うーん。友達が欲しいかな。」
マリオは嫌そうな顔をして言った。
「学校は面白くない。そう思わないのか。」
「友達が欲しいよ。」
アルフレッドが言った。
「近くに学校がある。そこに通えばいいだろう。とりあえず、全て明日だ。今日はまず部屋に案内するから。」
そう言うとアルフレッドはカウンターから出て来た。
「ついておいで。マリオ、ちょっと店を頼むな。」
マリオはカウンターに座ったまま、こちらをみて手を上げた。階段を上がりながらアルフレッドは言った。
「この建物は外から見てわかると思うが、3階建でね、最上階の3階に空き部屋があるんだ。使ってくれ。」
オレたちが3階につくと少し古い木でできたドアがあった。アルフレッドはドアの鍵を開けた。ギギギと音を立てドアが開いた。
「古くなってるから、後でケラから油を持ってくるといい。ドアの音もおさまるさ。」
オレは聞いた。
「ケラ?」
「ああ、すまん。ドイツ語で地下倉庫って意味だ。地下に倉庫があるから後で覗いてみるといい。」
アルフレッドは部屋に入ると電気のスイッチをつけた。そして、ここにスイッチがあると指を当てた。
中は思いのほか広く、台所、シャワー、トイレがついていた。ベッドも二つある。妹は言った。
「広いじゃない。」
アルフレッドはにこにこと笑いながら言った。
「気に入ってくれたなら、嬉しいよ。」
オレは言った。
「ウンウン、かなり気に入ったよ。」
「そうか、よかった。これを渡しておくよ。」
アルフレッドがそう言うと、オレに鍵を渡した。
「今日はゆっくり休むといい。明日朝になったら学校に案内する。」
妹は喜んだ。オレは聞いた。
「仕事も明日からでいいのかな?」
「明日からでいい。それじゃぁ、ゆっくりくつろいでくれ。オレはBARに戻らなくちゃいけないからね。」
アルフレッドはそう言うと、外に出て行った。オレと妹も荷物を取りに部屋の外に出た。妹は言う。
「いい部屋じゃん。」
「そうだな。アルフレッドもいい人だし。ラッキーだな。」
階段を降りてBARの横を通り抜けて表に出た。普通の町と、何ら変わりもないような街を、オレと妹はチラチラと周りを見ながら車へ向かった。その姿を見たのか、マリオが後ろから追いかけて来た。
「ちょっとまって、オレも一緒にいく。」
オレと妹は後ろを振り返った。マリオが追いついて言った。
「あの建物まで車を移動するから。」
オレは聞いた。
「車で行ける?最初から車で行けばよかったのに。」
「いや、長くは停められないんだ。お前らの荷物下ろしたら、またここへ停めにくるよ。」
オレたちは車に乗り込み建物の前まで移動した。マリオは言った。
「バランティ、リッツァ。今日はもう上に行って休みな。リッツァは明日学校へ行くし。バランティは夜から仕事だろ。」
オレは頷いた。そして言った。
「ありがとな、それじゃぁ休むよ。また、明日な。」
マリオと別れて、オレと妹は3階の部屋に行った。アルフレッドが教えてくれた電気のスイッチをつけ、部屋を軽く掃除して、ベッドに吸い込まれるように眠りについた。

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うや

童話、小説、その他、いろいろ妄想したり書くのが好き。最近は、わたしのトリセツ「ショコラ」の文章を担当してるよ。https://chocolat.jp/ まだまだ書くこといっぱいあるんだ。

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