さつきやみ うや

三日目 虹の橋

海が見渡せるこの砂浜。一面に雨雲が見えて、海の色も少し黒がかった色をしていた。
ぼくは砂浜にしゃがみこみ、遠くの雨雲を見つめていた。
ぽつんぽつんと、雨は降っていたけど、次第に雨はやんだ。
そして、雨雲はどんどん小さくなって、見る見るうちに消えちゃった。
空は晴れ渡ってきて、海の色もきれいな青色に光った。
「あ!虹だ!!」
ぼくは思わず叫んでしまった。
虹の右側が砂浜の端っこの方に引っかかっている。
ぼくは、一生懸命走って、虹のふもとにきた。
大きな、大きな、橋のように感じたよ。
虹を横から見ると、バームクーヘンのようだったけど、縦から見ると虹は一直線に伸びる光の柱に見えた。
おそるおそる近づいてみてびっくりした。
だって、いろいろな色を出す虹の橋には、ちゃんと階段がついているんだもん。
その虹の橋を触ってみた。階段だぁ。思い切って登ってみた。
一歩歩くごとに音が出る。その音は鉄琴のようで、キーンとひびきわたる音がなった。
どんどん、登っていくと音楽になっていることがわかったよ。
どこかで聞いたことがあるような、ないような。うーん。
はっと、後ろを見ると、ぼくはかなり高いところまで登って来ていた様で、少しぞくぞくしたよ。
でも、まだまだ登れるし、それに音楽がとても気持ちがいいもの。
あれ?ぼくが歩いて音が出ると、それと同時に雨の粒がくっついて、音符の形になって飛び跳ねている。
一歩歩くと、音が鳴り、音符が飛び出る。
音符は透明でとてもきれいに光る。太陽がその音符をいろいろな色に輝かせるんだ。
楽しみながらあがっていくと、とうとう、一番上に着いちゃった。
遠くの海を見渡してみた。そして、反対の方向の砂浜を見つめた。
とても、気持ちの良い日だよ。ぼくは、後ろのポケットに手を入れた。
砂浜の砂が、少しポケットに入っていた。
ぼくは、その砂を手に取り虹の上から海に向かってまいた。

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