7 なになに!これがカジノっていうの、たのすぃー!

いつもどおり、ふらふらしているザコ魔物に後ろから攻撃したりして、勇者(ふつう)シオンは少しずつ強くなっていく。

本当にごめんね。不本意なんだけど、魔王になってすてきな世界を作るから、その時には盛大な供養をしてあげるからね。涙。

「そう言えば、なんでカジノに勇者の盾があるの?」
「あー・・・。オレのお父さんがカジノ遊びにどっぷりハマっちゃって、借金まみれになってね。カジノのオーナーに没取されたんだって。・・・。まじ!生きてたら許さない!」
「生きてたら?死んじゃったの?」
「いや。。荒くれ者の取り立てが来て逃げたらしい。全く、、お父さんだって勇者の血を継いでるのに、何をしてるんだか・・・。それだから、かあちゃんは、2つ掛け持ちで働いて、少しずつ返してて、大変なんだ。しかーし!今、オレの手には何がある!」
「ふぉー!大金だっ!」
「このお金でカジノのオーナーとの交渉してくるよ!」
「ぼくも行きたいから、人間ぽくなれるように、魔物見つけて転生してくるね!!」

こっそりと、クェクェって鳴きながら、カジノの有名な城下町に侵入したよ。夜でも明るくて不思議な街だな。あ、女性型のサキュバスや、男性型のインキュバスが、青やピンクや紫に光ってる看板のお店に人間を誘い込んでるみたい。なんでだろ。インキュバスあたりと転生したらきっと人間ぽくなれるはずっ!なんとか誘い出してみよ。

まずは、先に円のついた魔法陣を2つ用意して、草で隠して。インキュバスを誘い出そ。
「ねぇねぇ、お兄さん。お兄さんはインキュバスだよね?」
「ああ、そうだよ、君は、コカトリスか、なかなか強くなっているようだね。で、オレに何か用?」
「ぼくのペットの勇者(ふつう)が大金を持ってるから、お兄さんのお店に誘いこむのはどうかなって思って。分け前二十%くれたらいいよ。」
「マジか、どこにいるんだい?」
「そこの裏路地にいるよ!ついてきて!」
二人は裏路地に回ると、隠してあった魔法陣の上にインキュバスを誘い出した。インキュバスは不審そうに言った。
「おい、誰もいないじゃないか。」
「ちょっとそこで待ってね、おかしいなぁ。」
そういうと、ぼくは叫んだ。
「進化っ合成ぃ!」
輪っかが強く光った。銀色の光の輪が上昇を始める。円柱の光ができあがると。インキュバスが叫んだ。
「お前、騙したな!ウワァァァァァァ!」
円柱の光が上から消え始めた。すこしずつ、光の中が見えるようになってきたけど、インキュバスの姿はなくなった。そして、コカトリスだった体はみるみる姿が変わり、エスプリガンになった。もちろんレベルは半分になっちゃったけど。

エスプリガンは、妖精でドワーフの一種とも言われているんだ。自由に姿を変えられることと、夢魔(むま)を扱って、誘惑できるんだって。コカトリスの頃とは大違い!めっちょかっこよく変身できるし。シューン。ほらね!

ぼくの得意分野はっと、ステータス見てみお。宝の埋蔵地や金品宝石の管理、盗み、ラック値が異様に高い、よくわからないけど、まぁ、いっか。勇者(ふつう)シオンを探して驚かせよっと!どっからみてもイケメンだもんね。

「勇者シオンー!」
「ん、お前だれ?」
「だよねー。わからないよねー。」
「あ!おま!もしかしてアルかー?」
「姿変わってもすぐわかったね!さすがペッ、勇者!」
「いや、よくみたら、腕の一部に鳥の羽ついたままだし。」
「うーん。驚かせようと思ったんだけど。で、オーナーと交渉できたの?」
「一応会ったんだけどさ。こんなはした金じゃ無理だつって追い返されたんだよ。」
「こうなったら、一攫千金狙おうよ!ね!カジノしてみたい!」
「あんまり気がのらないんだよな。」
「じゃあさ、一万円づつ使ってみようよ!」
「一万円あったら、薬草五百個買えるんだぞ。」

イケメンのぼくは、勇者シオンの腕を引っ張ってカジノに入っていった。ギラギラとして、眩しいくらい。みんなきれいな服を着ているので、ぼくはこっそり変身して着替えた。
「うわー!ちょー人も魔物もいっぱいいるんだね!」
「なに!アルは変身できんの?!」
「へへへ、便利でしょ!」
「初めて、魔物ってスゲーって思った。チンチクリンだったのに…」
「石化ブ」
「ちょ、待った!それ使えんの??」
「覚えたの使えるみたい。それよりもあのクルクル回ってるのやろー!」

二人はコインに換金して、スロット台に座った。しばらくたって、勇者シオンは、8万円もつぎ込んでた。さすが、お父さんの血を受け継いでるね。やめられないんだね。
「これ、ムリゲーじゃね…。って、おい!」

ぼくの台は、もりもり揃いまくる。

「なになに!これがカジノっていうの、たのすぃー!」

ひゃー!なんかすごいことになった。ジャックポットだって!みんな見にくるよ。

「つか、おまえのラック値ヤヴァくね。」
「そっか、勇者にはぼくのステータスが見えるのか。ふへへ。もう魔王倒さなくてもいっかなー。」
「お前なぁ。。」

魔王城まで、あと少し?

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うや

童話、小説、その他、いろいろ妄想したり書くのが好き。最近は、わたしのトリセツ「ショコラ」の文章を担当してるよ。https://chocolat.jp/ まだまだ書くこといっぱいあるんだ。

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