うや

十二月一日からクリスマスイヴの十二月二十四日までの二十四日間、少年「うや」くんの日々の生活を書いた童話。世界観は、夢の中のような感じ。これがぼくの中の少年。ずっと変わらない気持ち。伝わるといいな。

一日目 太陽の朝

朝。 ぼくは窓を開けて、外を見た。 うーん、良い天気だぁ。 ぼくは、太陽が昇っているのを見て、太陽にあいさつをした。 「おはよ。」 太陽の世界にも同じように朝がやってきて、太陽も朝を迎えているからね。 ぼく達の世界は、太 […]

二日目 雲の草原

ぼくは、おじいちゃんと一緒に高い山にきた。 とても高くて、雲よりも高い山だよ。 ぼくがどのようにして、この山を登ってきたのか、覚えていないけど。 そんなことは、どうでもいいや。 「おじいちゃん。雲がどこまでも続いているよ […]

三日目 虹の橋

海が見渡せるこの砂浜。一面に雨雲が見えて、海の色も少し黒がかった色をしていた。 ぼくは砂浜にしゃがみこみ、遠くの雨雲を見つめていた。 ぽつんぽつんと、雨は降っていたけど、次第に雨はやんだ。 そして、雨雲はどんどん小さくな […]

四日目 砂の日

今日の天気は砂。そんな日は、学校も休みになる。 あたり一面が真っ白な砂の世界に変身するんだ。窓から空を見上げると、薄暗い灰色をしている。 無数の砂が、次から次えと降り続く。 窓を開けて手を出した。砂が手に触れる。さらさら […]

五日目 一日木

ぼくは今日も学校で勉強中。 そろそろ最後の授業終了のチャイムが聞こえてくるかな? ぼくの席は窓辺でいつもぽかぽかと日があたる。温かくって眠ってしまうこともあるよ。 そんな時は、先生に怒られちゃうんだけどね。 「それでは、 […]

六日目 火の劇場

冬が来た。ぼくの街にも、冬が来た。外はとても寒くて、冷たい雨が降っている。 「あ、ニコラウスからのプレゼントだ!!」 長靴の中には、たくさんのチョコレートと、飴玉が入っていた。 「ママ!パパ!ニコラウスはぼくのところに来 […]

七日目 箱の中身

くろがぼくのまくら元に来ていて、ぼくの左の頬はぽかぽかとして気持ち良かった。 ぼくは、目を覚まして起き上がった。 くろも、あくびをして起き上がりぼくの顔を見つめていた。 そうそう、今日は学校が休み、でもパパとママは仕事に […]

八日目 流れ星

夜。ぼくは自分の部屋の片付けをした。 おもちゃを、ちゃんと箱の中に入れて、たんすの中にしまった。 今日はお部屋をきれいにしなくっちゃいけないんだよ。 なんて言ったって、今日は聖なる母が天使に出会った日だからね。 片づけが […]

九日目 星の学級

ぼく達の学校には、毎年この時期になると、占星術士が街にやってくる。そして、占星術士が先生となり、お星様の授業をやってくれるという、ちょっぴり変わった学級が作られるんだ。 その学級は、ぼく達の学校の生徒であれば誰でも受ける […]

十日目 絵本

ぼくが、もっともっと小さかったとき、絵の学校に行っていたんだ。 たぶん3歳のときだと思う。 そのときに書いたコスモスの絵は、きっと、今までで一番じょうずだと思うよ。 今は、そんなにじょうずに書けなくなっちゃったなぁ。 で […]

十一日目   

「なんか、おかしくない?」 なにが? 「ほらやっぱり変だよ。」 だから、なにが? 「君は誰?」 ぼく?ぼくは君だよ。 「え?」 だれだって、自分の中に何人かぼくが存在するでしょう。 「うーん。どうだろう。」 でも、ぼくに […]

十二日目 白い雪

朝起きたら、もう一面は雪に埋め尽くされていたよ。 道路も、家も、木も、全部が雪に覆われている。 いつもの風景は一転して、真っ白な世界になっていた。 こんな日は、みんなの心も透き通った白になるんだ。 毎日忙しそうに働いて、 […]

十三日目 風車

冬の国からの風が一段と強くなってきた。 この時期になると、風車の羽根がより一層早く回る。そう言っても飛行船のようにぐるぐる早く回るわけじゃないけどね。 ぼくはマフラーをして、温かいジャケットを着込むと、薄く曇った空の下へ […]