2人が目が覚めたときは、もう昼を過ぎていた。2人は腹が減ったので、何か食べようと思った。アレクスは枕の下にある財布を出して、中から千円札を取った。それをくしゃくしゃに丸めて皮のジャケットの胸ポケットに入れる。アレクス達は7・11(セブンイレブン)に行くことにした。アレクスはおにぎりを2つと500mm北海道牛乳を持ってレジに行った。後からカオスが、サンドイッチとプリンとソーダ水を持ってきた。2人あわせて816円だった。胸ポケットから丸まった金をだし、机に置く。店員はいやそうな顔をし、その金をのばしてレジにいれる。おつり184円をもらった。アレクスは、店員に冗談を言う。
「おい、こいつのプリン暖めてくれよ。」
「そちらは、しないほうがよろしいのでは・・。」
「冗談だよ。じゃあな。気にするなよ。」
カオスとアレクスは笑いながら、店を後にした。家に戻ると、家の前に皮のジャケットを着て、髪の毛を立たせた奴と、真っ黒な服に、黒口紅と黒マネキュアをつけた女がいた。アレクスは呼んだ。
「ナック!」
振り返った男は、ナックだった。もう1人の女は白人らしい。
「アレクス、どこいってたんだ。5分も待ったぜ。」
「今、朝飯買いに行ってたんだ。そっちの女は?」
「俺の妻だ、名前はソフィだ。」
カオスは驚いた顔をしてこう言った。
「結婚してんの?」
「ああ。」
4人は、部屋の中に入り話している。ナックとソフィはもう結婚をしている。ナックは大学に行っている。ソフィも大学に行っている。ソフィは日本語がうまい。いろいろなことを話したが、4人にとってそれはそんなに大切なことではなかった。今日は特別な日、「カオス・U.K」のギグの日なのだ。新宿にある、”CHAOTICK(カオティック) “という地下ハウスでpm6時から行われる。ナックとソフィもそのことを聞いて、絶対に行きたいと言った。カオスはいつものミルミルウォッカを飲んでいる。アレクスとナックはビールにし、ソフィはバナナビールを飲む。4人は、元気よく飲んでいる。スピーカーからは「セックス・ピストルズ」の”Anarchy in the U.K”をはじき出していた。アレクスはギターを取り出して、アンプにつなぎ曲にあわせて、弾き始めた。ナックはアレクスに、
「俺も楽器やるんだぜ。ベースとマラカス。」
と言うと。カオスはナックを見ていった。
「俺は、ドラムとカスタネットをやる。」
4人は笑った。笑ってはいるが、ナックもカオスも本当にマラカスとカスタネットを持っている。アレクスはナックに言った。
「カオスんちにはドラムセットがあっから、今度持って来いよ。音あわせしようぜ。」
「ああ、いいよ。」
カオスは、
「ところで、ソフィは何ができんの?」
と、ソフィに聞いた。
「ギターをちょっとと、ボーカル。」
「じゃ、バンドできんじゃんよ。」
実は、アレクスとカオスは、バンドをしていた。しかし、仲間のスティーブ(ボーカル)とデッド(ベース)は、今豚箱の中にいる。ファシスト1人をおねんねさせてしまい、檻の中にいる。いつ出てくるかわからなかった。
そうこうしているうちに、ギグの時間が近づいてきた。家を後に4人は”CHAOTICK”に向かった。”CHAOTICK” の前には、うじゃうじゃパンクスがいた。みんな1人1人が自分が一番いかれてると見せたい奴等でいっぱいだ。見渡すと知ってる顔がある。ジャックとシドニーだ。アレクスは呼んだ。
「ヘイ、ジャック、シッド!」
モヒカン頭のでかい奴が、
「おう、アレクスと、カオスじゃねえか。そっちの2人は?」
と、話しかける。こいつがジャックだ。きたねえ皮ジャンの上から腕のないジーンズジャケットを着ている。もう1人、小柄で後ろの髪が長く緑に染めている。こいつがシドニーだ。黒の皮ジャンを着ている。皮ジャンの後ろには”I AM MY OWN GOT (俺は俺の神様だ)”と白インクで書いてある。赤のチェックの入ったズボンをはいている。 カオスは、全員を紹介した。今日からみんな友達である。パンクスの結束は早いが、変なことをすると、すぐに追放される。しかし、アレクス達はそんなことをする奴はいないので、大丈夫だ。やっと、シャッターが開き、パンクスは地下へと進んでいった。中には何人いるかわからないほどの人がいる。所々でこずきあいが始まっている。いつものことだ、軽いジョークのけんかにすぎない。しばらくするとパンクスは、まだかと騒ぎ始めた。すると、「カオス・U.K」の連中が出てきて、マイクを持って叫んだ。
「騒ぐのはやめろ、俺達の歌を聴け!!初めは、 “FASHION CHAGE(ファッション チェンジ)”だ!」
ベースの低いラインが飛び出てきて、その後からギターが入る。
Spending money you have saved(お前が一生かけて貯めた金を)
Working all your life(費やして)
Give it to the people who control(お前の退屈な人生を)
Your boring life(操っている人に与えてしまえ!)
Living Without living(生かさず殺さず)
Fashion you must change(ファッションを変えろ)
To be in with the in-crowd(大勢の人間は)
Who live their life the same(同じような生活をする)
Fashion you must change(流行を変えろ)
To keep up with the trend(流行が遅れないように)
The money you are saving(お前の金は)
is coming to its end.(もうじき底をつくだろう)…….
ファッションを嫌ってつくったパンクらしい歌である。地下中でポゴっている。アレクスがナックを見ると、ナックはぼさぼさ頭の奴と何か話している。
アレクスはナックに聞いた。
「ナック、だれ?」
「こいつは俺の友達のアンソニー。」
と言うことは、アレクスとも友達になる。しかし、今は話を長くしている暇はない、ポゴる方が大切である。ボーカルのカオス(「カオス・U.K」のボーカルもカオスという。)は叫んだ。
「次は”CHAOS(カオス)” だ。世の中を住み易くするためにCHAOS(大混乱) するんだ!!」
曲が始まり、みんなまたポゴりはじめた。全部で9曲ぐらいやって、ギグは終わった。外に出るとパンクス達は腐りきった、きたねえ町、新宿にちりぢりにさまよっていった。アレクス達は外に出て新宿の目に行くことにした。歩きながらナックは、アレクス達にアンソニーを紹介し、仲間に入れた。アンソニーは、黒いジーンズに黒の軍隊ブーツ上には赤のトレーナーを着ていた。7人のパンクスは新宿の目のところに座り込んだ。みんな、さっきまでポゴっていたので、すごく、喉が乾いていた。そこでジャックとシドニーは、みんなから金を預かると飲み物を買いに行った。10分位すると帰ってきた。ジャックは、またいつものジャック・ダニエルを買ってきている。ジャックという名はここから取られた。みんなには、日本酒、焼酎、コーラ、オレンジジュース、ウォッカ、バナナジュースとミルミルである。カオスはいつものミルミルウォッカをつくって飲みだした。カオスも昔はミルミルウォッカをよく飲むのでミルミルと言うあだ名をアレクスは考えたが、カオスは断った。アレクスはカオスに言った。
「よくそんなん、いつも飲んであきねーな。」
「あ?うめーもん、これ。」
それにしても、この7人には音楽がほしかった。しかし、誰も持っていないのでだめだった。いつものホームレス達がいる。3人いる。アレクスは叫んで、
「おい、じっちゃんたち、来いよ、いいもんあんぜ!」
と呼ぶと、3人はパンクスのところに来て言った。
「にーちゃん達いつも悪いな。酒が飲めるってことは生きているうちで一番いいねー。」
このホームレス達はいつも、新宿の目のところにいる。ホームレスの1人が話し出した。
「こないだ、俺を助けてくれた兄ちゃん2人はどうした?」
カオスは事情を話した。そう、スティーブとデッドのことである。
実は1週間前、このホームレスは2人のファシストにいじめられていた。それを見て怒ったスティーブとデッドはその2人をなぐりたおした。ファシストの1人はナイフで2人をおそったが、デッドはすばやくよけ、そのファシストを蹴った。そのひょうしに、そいつは転び、自分の胸をさして死んだ。大馬鹿野郎だ。もう1人のファシストは逃げた。ワンワンは2人を連行していった。
その話を聞いたホームレスは、すまないという顔をして日本酒を一気に飲んだ。
どのくらい飲んだのだろうか、だいぶ遅くなっていた。ナックとソフィは家に帰ると言うと、それについて、アンソニーとシドニーも帰ると言った。また、明日会うことにした。アレクスとカオスとジャックは明日までここで過ごすことにした。残った奴等は飲み続けている。いつのまにか、みんなねっむっていた。
その後、しばらくすると、アレクス達の反対側に誰かが来て、毛布にくるまって寝始めた奴がいる。新しいホームレスであろう。このあたりは思いっきり風の当たるところである。そこに寝る奴は、新しく来た奴だ。昔から住んでいる奴等に追い出されて、ここに来るのだ。みんな、縄張りがある。
この新しいホームレスは女だった。
投稿者: うや
童話、小説、その他、いろいろ妄想したり書くのが好き。最近は、わたしのトリセツ「ショコラ」の文章を担当してるよ。https://chocolat.jp/ まだまだ書くこといっぱいあるんだ。