夜。ぼくは自分の部屋の片付けをした。
おもちゃを、ちゃんと箱の中に入れて、たんすの中にしまった。
今日はお部屋をきれいにしなくっちゃいけないんだよ。
なんて言ったって、今日は聖なる母が天使に出会った日だからね。
片づけが終わったので、ぼくは、はしごを出して屋根に登ることにした。
だって、たくさんの流れ星が見えるはずだもの。
ぼくは、パパの所へ行って、言った。
「パパ。はしごをかけるのを手伝って。」
「待ってくれよ。ジャケットを着なくちゃな。外は寒いからな。」
「あ。ぼくも着てくるよ!」
ぼくは、たんすの中から、一つのジャケットを出した。それを来ていると、くろがぼくの足元に来た。
「なんだい、くろ?いっしょに見たいのかい?」
と聞くと、くろは、にゃぁって答えた。
ぼくはくろを、ジャケットのおなかの部分へ入れた。くろは、ジャケットから顔を覗かしていた。
パパは、ぼくの部屋の窓から、屋根に向けてはしごをかけた。
パパは、はしごを押さえながらぼくに言った。
「気をつけて登るんだぞ。」
ぼくは、言った。
「大丈夫だよ。」
くろをおなかに入れて、ぼくははしごを登った。
そして、屋根に座った。ぼくは、大きな声で言った。
「わぁ。たくさんの星が見えるぅ!」
くろも言った。
「にゃぁぁ。」
パパも、はしごを登ってきた。
そして、いっしょに屋根に座った。
「ほぉ。今日は良く星が見えるね。」
「うん。」
空を眺めた。
「あ!流れ星!」
ぼくは空を指差した。パパは言った。
「始まるよ。」
そう言うと、無数の流れ星がぼく達の星に降り注いだ。
まるで雨が降るように。
パパは続けていった。
「この流れ星の数は、この星に生きている人と同じ数だけ降るんだって、言われているんだよ。」
「え?人の数だけ降るの?どうして??」
「この中の、流れ星の一つは君のために降って、流れ星の一つは私のために降る。流れ星はみんなのために降るんだ。そのことによって人は、一人一人が、この世界にとって必要である、と言う意味を知るんだよ。」
「ぼくは、この世界に必要とされているの?」
「そうだよ、生きているみんな、この星にとって大切なんだ。それを、流れ星が教えてくれるんだよ。」
「じゃぁ、この流れ星の中に、ママの星もあるのかな?」
「もちろん、あるさ。」
ぼくとパパは星降る夜を眺めていた。
投稿者: うや
童話、小説、その他、いろいろ妄想したり書くのが好き。最近は、わたしのトリセツ「ショコラ」の文章を担当してるよ。https://chocolat.jp/ まだまだ書くこといっぱいあるんだ。