八日目 流れ星

夜。ぼくは自分の部屋の片付けをした。
おもちゃを、ちゃんと箱の中に入れて、たんすの中にしまった。
今日はお部屋をきれいにしなくっちゃいけないんだよ。
なんて言ったって、今日は聖なる母が天使に出会った日だからね。
片づけが終わったので、ぼくは、はしごを出して屋根に登ることにした。
だって、たくさんの流れ星が見えるはずだもの。
ぼくは、パパの所へ行って、言った。
「パパ。はしごをかけるのを手伝って。」
「待ってくれよ。ジャケットを着なくちゃな。外は寒いからな。」
「あ。ぼくも着てくるよ!」
ぼくは、たんすの中から、一つのジャケットを出した。それを来ていると、くろがぼくの足元に来た。
「なんだい、くろ?いっしょに見たいのかい?」
と聞くと、くろは、にゃぁって答えた。
ぼくはくろを、ジャケットのおなかの部分へ入れた。くろは、ジャケットから顔を覗かしていた。
パパは、ぼくの部屋の窓から、屋根に向けてはしごをかけた。
パパは、はしごを押さえながらぼくに言った。
「気をつけて登るんだぞ。」
ぼくは、言った。
「大丈夫だよ。」
くろをおなかに入れて、ぼくははしごを登った。
そして、屋根に座った。ぼくは、大きな声で言った。
「わぁ。たくさんの星が見えるぅ!」
くろも言った。
「にゃぁぁ。」
パパも、はしごを登ってきた。
そして、いっしょに屋根に座った。
「ほぉ。今日は良く星が見えるね。」
「うん。」
空を眺めた。
「あ!流れ星!」
ぼくは空を指差した。パパは言った。
「始まるよ。」
そう言うと、無数の流れ星がぼく達の星に降り注いだ。
まるで雨が降るように。
パパは続けていった。
「この流れ星の数は、この星に生きている人と同じ数だけ降るんだって、言われているんだよ。」
「え?人の数だけ降るの?どうして??」
「この中の、流れ星の一つは君のために降って、流れ星の一つは私のために降る。流れ星はみんなのために降るんだ。そのことによって人は、一人一人が、この世界にとって必要である、と言う意味を知るんだよ。」
「ぼくは、この世界に必要とされているの?」
「そうだよ、生きているみんな、この星にとって大切なんだ。それを、流れ星が教えてくれるんだよ。」
「じゃぁ、この流れ星の中に、ママの星もあるのかな?」
「もちろん、あるさ。」
ぼくとパパは星降る夜を眺めていた。

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うや

童話、小説、その他、いろいろ妄想したり書くのが好き。最近は、わたしのトリセツ「ショコラ」の文章を担当してるよ。https://chocolat.jp/ まだまだ書くこといっぱいあるんだ。

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