6 王様って、めっちょ気前がいいんだね!

勇者と出会ってから、たぶん四年の月日がたったのだけど、十二歳だった勇者(ふつう)も十六歳になって少したくましく、男らしくなってきたよ。筋肉は噛み応え良さそうで、おいしそ。じゅるり。はっ、だめだめ、人間は食べちゃだめ。

やっぱりおじいちゃんの血をひいてるんだなって思うよ。魔法も剣術もできるようになってきたしね。

そんなぼくは、コックレベルもカンストして、上位種族のコカトリスになって、LV50になったんだ。そろそろ次のモンスターと進化合成したいなっ。

今日もいい天気だから、お城付近の草むらで日向ぼっこ中だよ。きっと、勇者(ふつう)がそろそろ城門から飛び出してくるよ。

「おーい!アルー!」

ね。声も、男らしくなって、体つきも良くなってるでしょ。でもまぁ、四年間ほぼ変わらない時間に飛び出してくるし。中身はそんなに変わってないんだよ。

「お!勇者シオン!待ってたよ!」
「見てくれ、この武器!」
「うわ〜!どうしたのその剣!」
「さっね、かあちゃんと話して、魔王討伐に行きたいって相談したんだ。そしたら・・。」

・・回想シーン始まり・・

かあちゃんが言った。
「おばあちゃんからおじいちゃんの事を聞いていたけど、シオンもおじいちゃんも、まったく同じことを言って。どうせ止めても行くのでしょう?」
「もちろん行くさ!十六歳になって、もう一人前だぜ!まだまだ、魔法戦士の端くれだけど、もっと経験を積んで、魔王を倒してくるよ!」
「そっか、もう十六だもんね。わかった。おじいちゃんから受け継いだ勇者の血もひいてることだし、一度王様のところに連れていくから、ちゃんと挨拶するんだよ。」
「魔王を討伐するのに、なんで王様のところに行くの?」
「様々な町や、お城をまわるでしょ。通行証みたいなものをもらえるから。」
「なるほどね〜。そうと決まれば早速行こ!」

お母さんについてお城まで行った。
「この扉の向こうに王様がいるから、礼儀正しくするのよ。私は先に帰っているからね。」
勇者シオンは扉を開け王室に入っていった。王様の前で一礼をして、膝をついた。
王様が、勇者シオンに向かって語りかける。
「おお、よくきたな。勇者の血をひくものよ。私はハラルドル12世。先代の勇者スタルカズル、君のおじいさんにはお世話になった。あの頃、魔物どもは邪悪なる魔神によって世界中の人間を脅かしておった。うんたらかんたら・・・」
その後一時間四十分の間、過去の出来事を語ったけど、前半の五分ほどで勇者シオンは船を漕ぎはじめた。話が終わると、王様の大きな声で勇者シオンは起きた。
「王国歴史館館長!こちらへ、あれを持って参れ。」
隣の部屋から一人のおじいさんが剣を持って王様のところへきた。
「勇者の血をひく新生勇者(になるかも)シオンよ、この剣が先代の勇者の剣だ。おまえが持って行くといいだろう。」
ずっしりとした、そして、何かが宿っているような、不思議でかっちょいい剣だった。
そして、王様は続ける。
「大臣!通行証とあれを。」
大臣は勇者シオンに近づき、通行証と、現金十五万円を渡した。
うひょー!勇者シオンは、心の中のガッツポーズを隠しつつ、王様に深々とお辞儀をした。
「必ずや、魔王を倒してみせます!吉報をお待ちください!」
そういって、王室から出て行った。

・・・回想シーンおわり・・・

「ってわけ!」
「勇者シオンすげー!」
でも、なぜか勇者シオンは、困った顔をしたよ。
「困ったことにさ。勇者の盾は王様は持ってないらしくてね。噂で、次の城にあるカジノの景品になってるって・・。」
「カジノ?それはつおいの??」
「ギャンブルって言って、運が良ければ儲かるし、悪ければ損するし。ほんと無駄な遊びなんだよ。。」
「へー、ちょっぴり行ってみたいなぁ。」
「一度人間に近い魔物に転生してから一緒行く?めぼしつけてる魔物いるんだけど。しかもその城の城下町にね!」
「さすが、勇者シオン!!行こー!」

特訓がてら、ぼくと、ペットの勇者シオンとザコ魔物を倒しながら、人間ぽくなれそうな魔物を探しに次のカジノのある町へ向かったよ。

カジノかぁ〜。どんなとこかな。